写真は、横浜市のホームページより引用

目次

あなたは「道志村」を知っていますか?

山梨県の東南端、神奈川県との県境に位置する道志村。

山々に囲まれ、村の中央には清らかな道志川が流れる、自然豊かな小さな村です。

首都圏から比較的近い場所にありながら、
少し車を走らせれば、そこには都会とはまったく違う風景が広がっています。

多くの人に愛されている道志村

道志村には、村外からもたくさんの人が訪れます。

キャンプを楽しむ家族。
道志川で釣りや川遊びを楽しむ人たち。
国道413号を走るライダーやサイクリスト。
四季折々の山や川の風景を楽しみに訪れる人たち。

都会での忙しい毎日から少し離れて、
自然の中でゆっくりと時間を過ごす。

道志村は、ここに暮らす人だけではなく、
多くの人にとっての「憩いの場所」でもあります。

横浜市と道志村には、100年以上続く特別な関係があります

そして――

道志村を訪れたことがない人とも、
実は、この村はつながっています。

道志川は、100年以上にわたって、
横浜市の大切な水源の一つとなってきました。

村を覆う森に降った雨が大地に蓄えられ、
やがて川となって流れていく。

この小さな村の豊かな自然は、
村の中だけで完結しているものではありません。

道志村は、さまざまな形で、
村の外に暮らす多くの人たちともつながっている村なのです。

自然豊かな道志村の風景

でも今、この美しい村で、大きな変化が起きています。

道志村では、長い間、人口の減少が続いています。

もちろん、村も何もしてこなかったわけではありません。

子育て支援、移住・定住の促進、産業振興など、人口減少に歯止めをかけるため、さまざまな取り組みが行われてきました。

それでも、人口減少という大きな流れを止めることは、簡単なことではありません。

道志村の人口は、長い時間をかけて減少してきました

昭和30年(1955年)には 3,372人 だった道志村の人口は、その後、長期的に減少してきました。

平成22年(2010年)には 1,919人、平成27年(2015年)には 1,801人

この約60年間で、村の人口は大きく減少しています。

これは、ここ数年になって突然始まった問題ではありません。

道志村が長い時間をかけて向き合ってきた、大きな課題です。


人口減少を少しでも抑えようと、村も取り組んできました

以前の「道志村総合計画」では、人口減少対策を進めることによって、平成37年、つまり2025年の人口を1,761人とする将来像を描いていました。

一方、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は、同じ2025年の人口を 1,651人 と推計していました。

村は、移住・定住促進や子育て支援など、さまざまな施策によって人口減少を少しでも緩やかにしようとしてきました。

しかし――

2025年を迎えた現実は、さらに厳しいものでした。

村が目標としていた 1,761人 を下回っただけではなく、社人研が推計していた 1,651人 も下回りました。

そして現在(2026年7月)の道志村の人口は約1,445人となっています。

さまざまな取り組みを続けてもなお、人口減少は予想以上の速さで進んでいる。

それが、いま道志村が置かれている現実です。


では、これから道志村はどうなっていくのでしょうか。

道志村が新たな総合計画案(2026ー2033)で示している将来人口の予測が、次のグラフです。

このグラフには3つの将来像が示されています。

青色の線が、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計

そしてオレンジ色と灰色の線は、出生率などについて一定の条件を設定し、人口減少を少しでも抑えた場合の村独自の推計です。

どの推計を見ても、共通していることがあります。

これからも人口が減少していくということです。

社人研の推計では、

2045年 990人
2060年 671人
2070年 506人

と予測されています。

現在約1,445人の人口が、約20年後には1,000人を下回り、2060年には現在の半分以下になる可能性があります。

しかも、前回の計画では、実際の人口が村の目標だけでなく社人研の推計も下回りました。

ですから、ここに示された数字を、

「まだ何十年も先の予測だから」と眺めているだけでよいのでしょうか。


これは、遠い未来の誰かの話ではありません。

2045年。

今40代の人は60代になっています。

今の子どもたちは、働き、家庭を持ち、地域を支える世代になっています。

2060年。

今40代の人は70代。
今20代の人も50代になっています。

つまり、ここに示されているのは、

今、道志村で暮らしている人たちの未来です。

そして、もう一つ考えてみたいことがあります。

人口が半分になっても、今の美しい道志村は、そのまま残るのでしょうか?

山は残るでしょう。

道志川も流れ続けるでしょう。

しかし、私たちが「美しい道志村」と呼んでいるものは、自然だけでつくられているわけではありません。

森林や農地を守る人。
道路や地域を維持する人。
商店や事業を営む人。
キャンプ場や観光を支える人。
地域の行事やコミュニティを守る人。
そして、ここで暮らし、子どもを育てる人。

そこに暮らす人がいるからこそ、今の道志村があります。

人口が減り続けるということは、単に「人口という数字」が小さくなるということではありません。

この美しい村を支えている人そのものが、少なくなっていくということなのです。


横浜市の大切な水源を、これからも守り続けられるでしょうか?

そして、人口減少によって考えなければならないことが、もう一つあります。

写真:「水源林のせせらぎ」
出典:横浜市水道局「横浜水道フォトコンテスト」

このページの最初に紹介したように、道志村と横浜市には、100年以上にわたる「水」を通じた深いつながりがあります。

道志川は、長年にわたり横浜市の大切な水源の一つとなってきました。

しかし、水源は、ただ川が流れていれば維持できるものなのでしょうか。

その水を育む森林があります。

森林や地域の環境を守る人がいます。

道路や集落を維持し、災害などが起きたときに地域を支える人がいます。

そして、そのすべての基盤には、道志村で暮らし続ける人々の生活があります。

人口が現在の半分、あるいは3分の1近くまで減っていけば、森林や地域環境を維持していくための担い手も少なくなっていく可能性があります。

もちろん、人口が減少したからといって、直ちに横浜市への水の供給ができなくなるということではありません。

しかし――

この水源を、これから50年、100年と守り続けていくためには、道志村そのものが持続可能な地域であり続けることも大切ではないでしょうか。

道志村の人口減少は、道志村だけの問題ではありません。

キャンプや観光でこの村を訪れる人。

道志川や豊かな自然を愛する人。

そして、道志川の水とつながっている横浜市に暮らす人。

この小さな村の未来は、実は村の外に暮らす多くの人たちの未来とも、どこかでつながっています。


この村で暮らす人が、いま困っていること

ここまで、道志村の人口減少と、その先にある未来について見てきました。

しかし、これは将来だけの問題ではありません。

すでに今、道志村で暮らしている人たちの生活の中に、さまざまな課題が現れています。

では、実際に村民は、村の施策をどのように感じているのでしょうか。

道志村が18歳以上の村民を対象に実施した「道志村総合計画・総合戦略検証アンケート」では、さまざまな施策について満足度が調査されています。

その結果が、次のグラフです。

道志村総合計画案(2026−2033)より】

水環境の保全・排水対策、防災、学校教育、子育て支援など、多くの施策では満足傾向が示されています。

一方で、不満傾向となった施策もあります。

その中で、最も大きなマイナスとなったのが、

「公共交通の整備 −32.3%」

でした。

雇用確保・定住化対策・移住促進の −12.3%、商工業の振興の −12.6% と比べても、公共交通に対する不満傾向の大きさが目立ちます。

これは、道志村で暮らす人たちにとって、「移動」が大きな生活課題の一つになっていることを示す結果ではないでしょうか。


道志村で暮らすためには、「移動」が欠かせません

道志村には鉄道がありません。

路線バスはありますが、本数や行き先には限りがあります。1日に数本しかないため行っても、帰ってくることができない現状があります。また、お盆など特定の日にちは運休となる時があります。

買い物をする。
病院へ行く。
学校や塾へ行く。
仕事へ行く。
友人に会う。
食事や温泉へ出かける。

都市部では当たり前にできるこうしたことも、道志村では、その多くを自動車による移動に頼っています。

自分で車を運転できる間は、あまり大きな問題には感じないかもしれません。

しかし、高齢になって運転が難しくなったとき。
免許を返納したとき。
病気やけがで一時的に運転できなくなったとき。
家族に送迎を頼むことができないとき。

その瞬間から、

「移動できない」ことが、「暮らせない」ことにつながる可能性があります。


移動に困るのは、高齢者だけではありません

「移動の問題」というと、免許を返納した高齢者の通院や買い物を思い浮かべるかもしれません。

しかし、道志村の移動問題は、それだけではありません。

たとえば、子育て世代です。

子どもの学校、部活動、習い事や塾などへの移動を公共交通だけでまかなえなければ、保護者が車で送り迎えをすることになります。

それは子育て世代にとって大きな時間的負担となり、仕事の仕方や生活にも影響します。

また、村内の事業所で働く外国人就労者をはじめ、自分で自由に移動する手段を持たない人たちにとっても、通勤や買い物などの移動手段は、道志村で生活するために欠かせません。

そして、これは個人の「不便」だけで終わる問題ではありません。

人口減少によって働き手が少なくなっていく中で、

「道志村で働きたい人がいても、移動する手段がない」

ということになれば、村内の事業者が人材を確保することも難しくなります。

移動の問題は、

高齢者福祉だけの問題ではありません。

子育て、教育、雇用、産業、移住・定住。

さまざまな問題につながっています。


「移動できること」は、村で暮らし続けるためのインフラです

これから人口が減少していく道志村で、本当に必要なのは何でしょうか。

私たちは、人口が減ってから対策を考えるのではなく、

今、この村で暮らしている人が困っていることから、一つずつ解決していくことが大切だと考えています。

高齢になっても暮らせる。

子どもを育てながら働ける。

車を持たない人も生活できる。

村外から来た人も働くことができる。

そして、これから道志村に移住してくる人も安心して暮らせる。

そのためには、

人が必要なときに、必要な場所へ移動できる仕組みが必要です。

「移動」は、単なる交通手段ではありません。

人が暮らし、人が働き、子どもを育て、地域の産業を支えていくための生活インフラです。

だから私たちは道志村の未来のために「移動」から始めました

私たちが目指しているのは、

「車がなければ暮らせない村」から

「車がなくても暮らせる村」へ。

という未来です。

そのために私たちは、住民自身が支え合う、新しい移動の仕組みづくりを始めました。

通院したい人。

買い物に行きたい人。

子どもの送迎に困っている人。

車を持たない人。

村で働くために移動手段を必要としている人。

そんな「移動したい人」と、

「自分の車で、できるときに誰かを乗せてもいい」

という地域の人をつなぐ。

私たちがつくろうとしているのは、単なる送迎サービスではありません。

**地域の中にある「助け合う力」を、

これからの道志村の生活を支える仕組みにしていくこと。**

それが、私たちの取り組みです。


私たちが目指す「道志村モデル」

人口約1,400人の小さな村だからこそ、できることがあります。

行政だけですべてを支えるのでもない。

住民だけに負担を求めるのでもない。

私たちが目指しているのは、

**住民・行政・企業、そして村外の応援者が、

それぞれ「できること」を持ち寄る仕組みです。**

住民は、できる範囲で人を支える。

行政は、制度や地域づくりの面から支える。

企業や事業者は、それぞれの力や資源を生かして支える。

そして村外の人たちにも、この取り組みを応援してもらう。

一人ひとりが大きなことをする必要はありません。

小さな力をたくさん集めて、地域を支える。

私たちは、この仕組みを

「道志村モデル」

と呼んでいます。

そして、この小さな村での挑戦が、

いつか同じように人口減少や移動の問題を抱えている、全国の地域にも役立つものになればと考えています。

そして、村外からの「応援」も、この仕組みを支える大切な力です。


道志村を好きな人も、この村の未来をつくる仲間です

ここまで読んでくださったあなたは、道志村に住んでいる人ではないかもしれません。

でも――

道志村でキャンプをしたことがある。

道志川で遊んだことがある。

国道413号を走ったことがある。

この村の自然が好き。

横浜市に暮らし、道志川の水とつながっている。

あるいは、このページを読んで初めて道志村を知った。

そんな人もいると思います。

私たちは、

道志村の未来を考えるのは、

道志村に住んでいる人だけでなくてもいい

と思っています。

人口約1,400人の小さな村だけで、これからのすべてを支えていくことには限界があります。

だからこそ、

この村を好きな人。
この自然を残したいと思う人。
この取り組みに共感してくれる人。

そんな村の外にいる人たちにも、道志村の未来をつくる仲間になってほしいのです。

応援する。

誰かに道志村のことを伝える。

村を訪れる。

そして、できる人は活動を支援する。

関わり方はいろいろあっていいと思っています。

「道志村が好き」

その気持ちも、この村の未来を支える大切な力です。


美しい道志村を、未来へ

山があります。

森があります。

道志川があります。

そして、その自然の中で暮らす人たちがいます。

私たちが未来へ残したいのは、

美しい景色だけではありません。

道志村に住む人々が安心して暮らしていけるからこそ「美しい道志村」が維持できるのです。

子どもたちが育ち、

働く人がいて、

年齢を重ねても安心して暮らすことができる。

そして、村外から訪れる人たちが、

これからも

「また道志村へ行きたい」

と思える村であり続ける。

その未来をつくるために、

私たちはまず、

「移動」から始めます。

小さな村の、小さな挑戦です。

でも、この挑戦に多くの人が加われば、

できることはきっと大きくなります。


美しい道志村を、未来へ。

美しい道志村を、未来へ。
この村の未来を、一緒につくってください。