はじめに
私は5年前に道志村へ移住しました。
自然豊かで魅力的な村ですが、暮らし始めて気付いたことがあります。
それは、「移動」が生活の大きな課題になっているということです。
そして調べていくうちに、この問題は単なる交通問題ではなく、人口減少や地域の未来にも関わる課題ではないかと考えるようになりました。
今回は、私たちが取り組んでいる「道志村モデル」について紹介したいと思います。
道志村の現状と課題
道志村は、東西約28km、南北約4kmという細長い地形の中に集落が点在する、全国的にも特徴的な村です。
公共交通機関は路線バスが中心ですが、運行本数は限られており、通院や買い物など日常生活の移動には自家用車が欠かせません。
しかし近年は高齢化が進み、運転免許を返納する方も増えています。その結果、自力での移動が難しくなる住民が増加し、移動手段の確保が大きな地域課題となっています。
移動の不安は、高齢者だけの問題ではありません。
「将来も安心して暮らし続けられるだろうか」
「子育てをしながら生活できるだろうか」
といった不安にもつながり、人口減少や地域の活力低下とも密接に関係しています。
移動の不便さは、人口減少にもつながる
道志村は、古くから単一の村として存在し、長い歴史を持つ地域です。
大正9年の人口は2,854人。その後、戦後のベビーブーム期には人口が増加し、昭和30年には3,372人と過去最高を記録しました。
しかし、その後は人口減少が続いています。
私が道志村へ移住した2021年には、627世帯1,619人だった人口が、2026年には617世帯1,464人となり、わずか5年間で150人以上減少しました。
これは村民の約1割が5年間で減少した計算になります。
さらに、道志村人口ビジョンでは、2060年には人口が1,000人を下回ることが予測されています。

もし人口減少がこのまま進めば、私たちの暮らしに様々な影響が及ぶことが考えられます。

・地域行事や自治会活動の担い手不足
・働き手の減少による人手不足
・商店や各種サービスの維持困難
・公共交通や公共サービスの縮小
・空き家の増加
・地域コミュニティの希薄化
・税収減少による行政サービスの低下
・公共交通維持のための財政負担増加
こうした変化は互いに影響し合い、さらに人口減少を加速させる悪循環につながる可能性があります。
道志村の豊かな自然や魅力的な地域文化も、そこに暮らす人々がいてこそ維持されるものです。
私たちは、人口減少は単なる数字の問題ではなく、地域そのものの存続に関わる課題だと考えています。
私たちは、人口減少の背景に「移動」の問題があると考えています
道志村では、通院や買い物、仕事、子どもの送迎など、日常生活の多くの場面で自家用車が必要です。
現在は運転できていても、
「高齢になって運転できなくなったらどうしよう」
「子育てをしながら暮らし続けられるだろうか」
「家族の送迎負担が大きくならないだろうか」
といった不安を感じる方も少なくありません。
移動に不安がある地域では、若い世代が住み続けることをためらい、移住を検討している人も定住に踏み切れなくなります。
つまり、移動の問題は高齢者だけの問題ではなく、人口減少や地域の活力低下にも直結する課題なのです。
私たちは、移動手段を確保することが、安心して暮らし続けられる村づくりにつながり、人口減少に歯止めをかける一助になると考えています。

私たちが目指す「道志村モデル」
私たちは、この課題に対する一つの解決策として「道志村モデル」を提案しています。
道志村モデルとは、
移動サービスを地域インフラとして整備し、
地域経済を活性化し、
村全体で支え合う仕組みをつくる取り組みです。
単に高齢者を送迎するサービスではありません。
移動の不安を減らし、安心して暮らし続けられる環境を整えることで、人口減少に歯止めをかけることを目指しています。
また、クラウドファンディングを活用して活動資金を集めるだけでなく、その一部を地域事業者へ循環させることで、地域経済の活性化にもつなげます。
そして何より、特定の人に負担を集中させるのではなく、
「できる人が、できる時に、できる範囲で」
参加する仕組みを目指しています。
道志村モデルの三本柱は以下です。
・移動サービスの提供(移動インフラ整備)
・クラウドファンディングによる地域活性化事業
・村全体で支え合う仕組みづくり(できる人が、できる範囲で、できる時に)

道志村モデルの三本柱を支えるプラットホーム
私たちは、この「道志村モデル」を実現するために、独自の配車システムを開発しています。
このシステムは単なる送迎予約システムではありません。
送迎依頼とドライバーのマッチング機能だけでなく、クラウドファンディングによる地域活性化事業や、多くの住民が無理なく参加できる仕組みづくりも支える「地域を支えるプラットフォーム」として設計しています。
現在も改良を続けながら、道志村モデルの実証実験に向けた準備を進めています。

おわりに
私たちは、移動サービスそのものを目的としているわけではありません。
移動をきっかけに、人と人がつながり、地域が支え合い、未来へ希望をつなげる仕組みをつくりたいと考えています。
道志村モデルは、まだ始まったばかりの挑戦です。
しかし、この小さな村での取り組みが、同じ課題を抱える全国の地域にとっても参考になるモデルになることを願っています。